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障害のある方による活版印刷製品づくり

障害者差別解消法という法律が、今年の4月から施行されました。墨田区内で、その法律の認知を高めるためのノベルティ作成に、co-lab墨田亀沢として参加させてもらいました。

福祉作業所×クリエイターによるすみのわプロジェクト

就労継続支援B型事業所と言われる福祉作業所で働く障害のある方々の月収は、平均で15,000円にも満たないという厳しい現実があります。その状況を変えたい。そのような想いから、墨田区内のフリーランスのクリエイターの集まりである「すみだクリエイターズクラブ」  のメンバーが中心となり、福祉作業所のオリジナル商品づくりをお手伝いする「すみのわ」 というプロジェクトが立ち上がりました。このプロジェクトには、co-lab墨田亀沢のメンバーでもあるモアナ企画の三田大介さんも関わっていらっしゃいます。
その三田さんから、「障害者差別解消法啓発用のノベルティ商品を開発したい。」とのご相談を受けました。サンコーのオンデマンド印刷機を使ってポストカードを作る事も可能ですが、それでは普通のポストカードにしかなりません。そこで、co-lab墨田亀沢にある活版印刷機を使い、障害のある方が描かれたアート作品を、障害のある方が印刷する。というコンセプトが固まりました。

活版体験スタート

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今回使った活版印刷機。

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3つの絵柄を、それぞれの絵柄に合った色を調合して作り、その色で印刷します。

今回、印刷工程を担当されたのは、すみだふれあいセンターで働かれているお2人です。活版印刷は初めての経験です。最初はおっかなびっくりですが、サンコーの印刷職人がサポートして、徐々にコツを掴んでスピードアップしていきます。

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3柄で1,000枚を一気に印刷していきます。活版印刷はカスレやにじみが出て、1枚1枚表情が違うのが特徴です。さらに、今回使用した紙は、手漉きのために1枚1枚厚さや紙の密度が微妙に違います。そのため、出来上がったポストカードは全て違う表情をしています。印刷した方々のおもいがこもった、世界に1枚しかないポストカードの完成です。
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南三陸の福祉作業所とのコラボレーション

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今回のポストカード制作では、南三陸にあるのぞみ福祉作業所にて、障害のある方たちが牛乳パックから作った、「のぞみペーパー」と言う紙を使いました。のぞみペーパーは、震災の影響で受託する作業が皆無となったのぞみ福祉作業所が、寄贈された紙漉き機械を使って作られた製品です。牛乳パックを切り開き、コーティングを手作業ではがし、ミキサーで溶かし、和紙と同じように漉く。という工程で作られていて、とてもぬくもりのある表情が特徴です。活版印刷機で圧を掛けると、紙が柔らかいため、凹凸が出て独特の風合いを生み出します。
障害が個性と感じられる世の中を目指して
今回作られたポストカードは、障害者差別解消法の認知度向上のためのノベルティとして、区内のイベントなどで配布される予定です。障害のある方が作成した作品が、少しでも多くの人の手に届き、障害を個性として受け入れられるような世の中になって行くことを願って、co-lab墨田亀沢では「すみのわ」のプロジェクトをこれからも応援していきたいと思います。
 
≪co-lab墨田亀沢 チーフコミュニティファシリテーター 有薗悦克≫

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