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デジタル本「全巻一冊 北斗の拳」の開発舞台裏!(前編)

世界最大のクラウドファンディングサイト・Kickstarter日本版の、ローンチ第一弾プロジェクトのひとつに選ばれ、300万円の目標に対し、約2,300万円の出資を集めたことでも話題になったデジタル本「全巻一冊 北斗の拳」。紙のマンガの見た目や質感は残しつつ、電子書籍の利便性を備えた本の製作には、co-lab墨田亀沢のメンバー、篠原慶丞さんが代表を務める、篠原紙工が深く関わっています。

Kickstarter プロジェクトページはこちら!
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9月27日、篠原紙工内Factory 4Fで「全巻一冊 北斗の拳」の開発舞台裏というイベントが開かれました。
https://factory4ftour.connpass.com/event/66817/
開発元であるプログレス・テクノロジーズの方々と、篠原紙工担当者が、開発への思いや裏話を明かす貴重な機会。デジタル製品の研究開発を得意とする企業と、製本会社との異色のコラボレーションへの関心は高く、多くの方が集まっていました。
まず、今回の「全巻一冊 北斗の拳」開発者である、プログレス・テクノロジーズ小西代表からのお話です。
小西氏
私たちは、普段、自動車メーカーや家電メーカーの開発やテストを行う会社です。なのに、なぜ「デジタル本」をつくろうと考えたかというと、今、世にある「電子書籍のカタチ」に疑問を持ったからです。疑問を持つきっかけは、出版業界において、紙からデジタル(電子書籍)への移行が、思ったより進んでいないことでした。
デジタル化が進み、紙がなくなるという世の中の流れはかなり前から指摘されていて、新聞社の売上が10年間で25%減、発行部数は16%減、新聞広告は45%減というところにも表れています。でも、その新聞にも電子版がありながら、まだ国内で4,000万部も売れている。つまり、4,000万部の購入者がなんらかの理由で紙の世界に残っていて、ちょっとしたメリットを感じるくらいでは、急にデジタル化しない可能性が高いということです。
そこで出版業界を調べると、電子書籍市場の拡大はもちろん見られたのですが、紙の書籍市場もまだ1.5兆円ありました。電子書籍が世に出て10年以上。もし、電子書籍が圧倒的に素晴らしいと多くの人が認めたなら、ガラケーからスマホのような、大移動が起きるはず。でもそうなっていないということは、今の電子書籍のカタチが正解と言えないのではと思い始めました。
さらに、amazonが紙の書籍を揃えた実店舗を持ち始めたことにも注目しています。そこでは紙の書籍販売を目的とせず、紙を釣り餌にして、何とか電子書籍(kindle)に移行させようとしている。
一言でいうと、今の電子書籍はテクノロジーのごり押しである。というのが、現時点での私たちの結論です。それなら、紙の書籍と、kindleの間のような「紙の書籍の進化版」があっていいのではと考えました。紙の書籍を選ぶ人たちが手に取りたくなる形態でありながら、電子ペーパーの価値も享受できるハイブリッドを目指しました。さらに英語と日本語を切り替えるという、新たな読書体験が提供できるのも、ハイブリッドの魅力です。
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右下の地球マークで言語が切り替えられる。
 
私たちの仮説が社会にフィットしているかを調べるため、キックスターターに掲載をしたところ、予想を上回る結果となりました。今回いただいた出資は、ジャンプコミックス2万冊分の予約獲得に匹敵します。紙の倍という価格でここまで売れた事実は、自分たちの仮説がある程度合っていた証明になってくれていると思います。
今回の実績を踏まえ、出版社からもいろいろな話を受けています。今後はラインナップやカテゴリーを増やし、新たな領域に広げていきたい。紙と親和性の高いところに、テクノロジーにおけるお客様のニーズがあると感じています。
後編は、4名のプロジェクトメンバーのトークセッション。続きます! (岡島)

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