大人の社会科見学 vol2を開催しました
大人の社会科見学『印刷・加工現場を巡るツアーvol.2』を開催しました。このイベントは、ほぼ同じ時期に印刷をテーマにしてオープンしたco-lab墨田亀沢、Factory4F、Printoworks Studio Shibuya の3拠点を巡り、印刷・加工の現場を体験して頂くツアーです。前回の紙加工の広場Factry4Fでの開催に続き、先日co-lab墨田亀沢にて、「オフセット印刷に触れてみる」というテーマにて開催されました。
この企画はどうやら人気企画になったようで、vol.1に引き続き今回も30名の応募枠を上回る応募を頂きました。満席でご参加頂けなかった皆さん、ごめんなさい。また次回のご参加をお待ちしております。
ファクトリーツア―では、まずは印刷機に掛けるための版を作るまでの工程をご覧頂きました。写真は、CTP(Computer to Plate)と呼ばれる機械で、データからCMYKの版を作る機械です。アルミの板にレーザーで印刷する部分を彫り込んで行きます。ちなみに、この機械は温度にすごく敏感で、社長も個室を持っていないこの会社で、唯一空調完備の個室を持っている贅沢な社員です。
次に、印刷物のデザインに関わっている方にとって、出来上がりで不満を感じる事が多いと思われる「デジカメの写真がなぜ綺麗に印刷されないのか?どうしたら綺麗に色が出るのか?」についてのミニセミナーです。
RGBという光の三原色が、合わさると白になるのは皆さんご存知の通りだと思います。逆にCMYという色料(インク)の三原色は、合わさると黒・グレーになります。色の性質としては正反対のものなので、CMY+K(黒は暗い色を引き締めるために使われる)で印刷されると、どうしても色が濁ってしまうのです。さらに、明るい青や緑の色は、モニターでは表現されてもCMYKの掛け合わせでは表現できない色が多く、その意味でも印刷では写真が暗くなってしまいます。
このような特徴を踏まえ、もとの写真と同じように明るく見せるためには、2つのステップで画像を修正します。1つ目は、コントラストの調整です。明るい側の色について表現できる領域が狭まってしまった結果、全体的にコントラストが低くなってしまうため、メリハリを調整します。2つ目は、色の濁りの要素を取り除いていきます。写真にあるような青い海の色を濁らせるのは、青の反対色の黄色だったりするので、その要素を取り除いていきます。そんな工程をご覧いただきました。
次に印刷工場に移動して実際の印刷工程を見て頂きました。大きな音を立てて、1時間に1万枚を超えるスピードで刷り上っていく様に、皆さん驚かれます。カラー印刷の場合、通常は4枚の版を使って印刷しますが、4つの版の位置が少しでもずれていると、綺麗な印刷になりません。トンボと呼ばれる画面外側の十字のマークはCMYKの4色で刷られているのですが、これがルーペで見てもきっちり絵が合っていれば見当が合った状態です。
でも、紙が薄かったりすると、紙全体で見当を合わせる事は難しく、どこかにずれが出てしまいます。絵柄に影響が少ない場所にずれを出すように、版の位置を調整することも職人技の1つだったりします。
さらに、今回はインキを練って色を作る光景も見学してもらいました。企業のロゴなど、指定された色を正確に表現する場合には、CMYKの掛け合わせではなく、特色と呼ばれる、指定された色のインキを作って刷る方法があります。この場合は10色ほどのインキから、必要な色を混ぜ合わせて、最後は紙の質による乾燥時の色味の変化(ドライダウン)なども考慮して、現場で色を調合します。今回は鶯色を作ったのですが、当初混ぜた色からもう少し色をくすませたい時に、青でも黒ではなく、赤や金赤を混ぜて色を調整します。そんな光景もご覧いただきました。
その後は、3拠点の責任者+サンコーの職人による質疑応答&トークセッションを行いました。
「なぜプリントパックなどのweb印刷が安いのか?」「理想的なデータ入稿の方法は?」と言った日常の仕事に役立つ話から、最後は「立ち合いで職人にいい仕事をさせるには?」そんな本音トークまで飛び出し、てとても盛り上がりました。ちなみに、立ち合いではOKを出した紙に日付と名前を書くと、職人にはプレッシャーになって良いそうですよ。
最後に記念撮影をしてイベントは終了。その後交流会へと突入し、印刷のあり方について、あちこちで意見交換がされました。
次回は8月26日(水)にPrintworks Studio Shibuya にて、活版印刷の体験と印刷の歴史を知るツアーを開催予定です。3回のイベントの集大成となる様なイベントになると思いますので、今から予定を空けておいてくださいね。