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co-lab墨田亀沢の毎日

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活動報告#1 竹下仁氏(ジュニアプログラミングクラブQUEST)

co-lab墨田亀沢には様々な活動をされているメンバーさんがいらっしゃいます。その活動をインタビュー形式でご紹介していきます。
第1回目は、、co-lab墨田亀沢のオープン当初からのメンバーで、フリーランスのシステムエンジニアとして、大手金融機関のシステム構築などを担当されながら、子供向けのプログラミング教室である“ジュニアプログラミングクラブ「QUEST」”を主催されている竹下仁さんです。竹下さんに、co-labに入会されたきっかけや、プログラミング教育についての考え、プログラムとクリエイティブの関係などについてお聞きしました。
 
聞き手:有薗悦克(co-lab墨田亀沢:re-printing/チーフ・コミュニティ・ファシリテーター)
構   成:越村光康(co-lab墨田亀沢:re-printing/コミュニティ・ファシリテーター)
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竹下 仁

システムエンジア
 
 

入会のきっかけは深夜のスカイプ会議のため!?

有薗:co-lab墨田亀沢への入会のきっかけは?現在メンバーとなっている深川さんと一緒に内覧に見えましたけれど、その時はまだQUESTの話は出ていませんでしたよね。
竹下:昨年の4月頃から、区の施設などを借りながら、QUEST立ち上げに向けたトライアルとしてプログラミングのワークショップなどをやっていましたが、継続的に使える会場探しに難航していました。ちょうどその頃、夜中にスカイプ会議が出来る場所として、ドロップイン利用できるコ・ワーキングスペースを探していたのですが、たまたまその時に、QUESTのトライアルを一緒にやっていた深川さんが、こちらに入会すると聞いて、一緒に見学に来て、ドロップインで何日も使う事を考えれば安いと思い入会を即決しました。その時点では、QUESTの構想はありましたが、まだここをQUESTの会場にすることは考えていませんでした。

QUESTとは?

 
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有薗:QUESTは私も何度か見学をさせてもらいました。スクラッチというソフトを使って、猫から逃げるネズミのゲームを作っているのを見ましたが、具体的にはどんな風にクラスは進んでいくのでしょうか。
竹下:最初は猫から逃げるネズミのゲームを作りながら、基本的な操作を学びます。その後、座標、変数、乱数など、プログラミングで作品を作る上で必要となる知識をテーマごとに学ぶ形をとっています。6回で1通りのテーマを学んで、それ以降は自分で自由に作っていきます。
会場は、テーマに沿った学びを行う「ラーニングテーブル」と、ある程度知識を習得した人が自由に創作活動を行う「プレイングテーブル」の2つに分かれています。プログラミングは、場数を重ねることで力をつけていくことができるので、色々な作品を作りながらプログラミングに対する理解を深めて貰っています。
有薗:来ている人は、どんなお子さんが多いですか?
竹下:墨田区の教育委員会の後援を頂いて、学校でチラシを配布してもらっているので、墨田区内の小学生が大半です。小学3年生以上を主な対象としていて、上は中学2年生までいます。4年生・5年生が一番多い世代です。

プログラミング教育は、これからの世代の読み・書き・そろばん。

 
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有薗:QUESTを受けさせる親御さんにはどんな特徴がありますか?
竹下:当初は親御さんが子供に受けさせたくて連れて来るケースが多かったのですが、今は子供が自分で選んで受講しているケースが増えてきている気がします。いずれにしても、QUESTに来られる方は、やはり親御さんのプログラミング教育に対する感度の高さや理解を感じますね。
ですが、世間一般の幅広い保護者の方の声を聞くと、プログラミング教育の重要性の認識に格差があると感じています。そのために、「プログラミング教育は現代の必須教育だ。」とおっしゃる親御さんがいる一方で、「何に繋がるのかわからない。」とおっしゃる親御さんもいらっしゃいます。そういう方からすると、「プログラマーを目指している訳ではないし…。」と言う感じでしょうか。ゲームやネットに対するネガティブな印象とリンクしてしまう方も中にはいらっしゃるようです。
有薗:親御さんご自身が、プログラムがよくわからないから、「はまったら困る」とか、「炎上したらどうしよう」みたいな不安もあるんでしょうね。竹下さんご自身は、プログラミング教育についてどうお考えですか?
竹下:これからの時代の「読み・書き・そろばん」だと思います。色々なものにコンピュータが組み込まれているのが当たり前の世界になってくるので、たとえプログラマーでなくても、「コンピュータで出来ること、出来ない事」を知っていることは大切です。一般的な事務の仕事でもPCを使うことが当たり前になってきました。エクセルのマクロや関数もプログラミングの一種ですが、決してプログラマーだけが扱うものではありません。プログラミングで行っている事とは、必要な結果を手に入れるための手順を決める事であり、結果に達するまでの工程を小さな命令の単位に分解して、順序を決めて実行していくことなんです。
これはプログラミングに限らず、ゴールや目標に向かって作業を進める方法にも通じると思います。だから、QUESTの参加を検討している親御さんには、「QUESTはプログラム言語を学ぶものではなく、考え方を学ぶものなんです」ということを説明しています。

自己表現手段としてのプログラミング

 
QUEST
有薗:と言う事は、プログラミングをするためには、まずやりたいことが明確に決まっている必要がある。そして、それを小さな命令に分解して、優先順位を決めて実行していく。これも新しい自己表現の手段でありクリエイティビティが求められますね。
竹下:色々なものが手に入る時代ですが、既存の商品やサービスを消費するだけではなく、「欲しいもの」「あったらいいなと思うもの」は自分で創り出せるのだという事を知ってもらいたいですね。最初は処理を学び、事例を積み重ねて行くことになりますが、徐々に自己表現のツールとして使ってほしいと思います。デジタル時代のクリエイションにおいて、プログラミングが担う役割は小さくありません。
プログラミングを通じて、創作活動に関心が強い子が出てくればいいと思っています。
私は、子供の頃、レゴブロックで遊んでいました。プラモデルと違い、ブロックには決められたゴールがありません。何を作るかを自分で考えるから、創造力や発想力が必要になります。更に、「人に楽しんで使ってもらうにはどうしたらいいのだろう」と考えることで、自己満足に終わらない客観的な視点や想像力も養われる。そういったものにつなげていきたいという思いでこのクラブを運営しています。
有薗:となると、プログラミング教育は右脳も、左脳も両方を働かせることになりますね。これは、子供だけでなく、ビジネスマンに必須な素養かも知れませんね。
竹下:これからのデジタル時代の社会の課題に対するソリューションを生み出せる人材を育てる、と言う意味で社会人の方にも必要な素養かもしれません。社会人のプログラミング教育は、業種特化で実務的なものになりがちです。しかし大切なことは、システムの考え方を身につける事だと思います。QUESTとして、社会人向けの研修なども手掛けていければと考えています。

インプットの為のスマホ。アウトプットの為のPC

 
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竹下:若い世代が「デジタルネイティブ」と呼ばれますが、実はシステムにおける読み書きのうち、「読み」のスキルは長けていますが、「書き」のスキルが圧倒的に不足しています。先進国の中で、若い世代がプライベートでPCに触れる時間は、日本がダントツに短い。みんなスマホやタブレットで事足りるようになっているんですね。ですが、スマホは情報をインプットすることには向いていますが、長い文章を書いたりプログラミングをしたりといったアウトプットには向いていません。そういった作業には、やはりPCが適しています。若い日本人がPCに触れる時間が短いということは、それだけクリエイティブな作業に時間を割いている比率が低いということの現われです。インプットに対して、アウトプットが少ない。このバランスが崩れている事を危惧しています。
知り合いの大学生に聞いた話では、大学1年生の授業で情報処理という講義があり、「パソコンを開いて電源をつけて」というところから授業が始まったそうです。「大文字を打つにはShiftキーを押しながら」とか。みんなスマホを持って使いこなしていますが、更に若い世代になるとフリック入力すら使わず音声入力という話しも聞きますし、PCというアウトプットツールからは遠ざかっているのです。
有薗:インプットばかりでアウトプットが苦手。日本の英語教育などと同じ気がします。
竹下:QUESTはプログラミングに触れてもらうきっかけですが、ここから「自分で作りたいものを考え、作っていく」という、ものづくりの楽しさを知って欲しい、そういう人が増えて行ってほしい、と思っています。この墨田区に、ITを駆使して、新しいことにチャレンジしていける文化とか土壌が根付けば面白いなあと思っています。
有薗:QUESTで表現をする楽しさを体感した子供達が沢山卒業していったら、そういうコミュニティになっていくような気がしますね。
竹下:co-labって、これからの「場づくり」とか、「新しい価値を創って行く」という思いのある場所だと思っているので、自分たちがしていることにぴったりな場所だと思っています。私たちのサイトにも「最先端の学びを、最先端のスペースで。」と書いているんですよ。
有薗:デジタルなものの考え方が出来る人たちが育つ場所であってほしいし、小学校時代にここで学んだ子供たちが何年か後に起業して、また戻ってきてくれたらいいな。と思っています。
竹下:そうなんです。QUESTでクリエイションに興味を持った子供たちが仕事をする年齢になって、ここに入居して、そこで新しい化学反応が起きてくれるとすごく面白いと思いますね。
ロゴ画像
QUESTについての詳細は、http://quest.machinacademia.com/
 

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