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co-lab墨田亀沢の毎日

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第3回スミカメゼミを開催しました。

co-lab墨田亀沢を利用するメンバーさんが、それぞれの経験やノウハウを持ち合い、お互いが学びあう場「スミカメゼミ」が開催されました。第3回目の今回は、行政から依頼されるデザインを事業の柱とされている株式会社PADの小川道和さんが先生です。

まちづくりは現場で起きている。

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行政という組織は、「融通が利かない」「わかりづらい」「タブーが多い」というように、とかくネガティブなイメージで捉えられがち。しかし、行政側の背景を理解すると見方が変わるかもしれないと小川さん。
「例えば、わかりづらい政策名って多いと思うんですけど、議会の承認を得るためのネーミングを、ターゲットが市民に変わってもそのまま使ったことが原因だったりします。また、公のお金を使う以上リスクをとれず、お金の使い方には説明責任がつきまとう。行政にも事情があるんですよね」
そんな中、行政は、コミュニケーションの方向性を変えようとしています。従来ありがちだった行政からの一方通行ではなく、市民に街へのかかわりを持ってもらい、コミュニケーションを双方向にしたいと考えているのです。
しかし、前述のような行政の事情は一般市民には伝わらず、なかなか上手くいかない。そんなときに登場するのがデザイナーの小川さん。小川さんは、行政の広報誌の編集などを通じて、現場を訪ね2000人以上取材してきました。
「行政の職員ではなく、デザイナーという第三者的な立場だからこそ、市民の本音を聞き出せる。両方の立場を理解した通訳として、デザイナーが果たせる役割は大いにあると思います」

プロセスをデザインする

小川さんは、行政が出す広報誌でも実績を積まれています。その編集会議には多くの関係者が参加しますが、会議で結論が出たのに、各部署に持ち帰った後に話が振り出しに戻ったり、安易な折衷案に流れてしまったり…。以前はそんな徒労を数々経験されてきたそうです。
今は、その場で議論をホワイトボードに書き出すグラフィックレコーディングを実施し、編集会議の場でラフレイアウトまで決めるのが小川さんのスタイル。さらに「誰に?」「困りごとは?」といった、議論をまとめるためのキーワードが書かれたアイテムを持ち歩き、編集会議というプロセスをいかに効果的に進めていくかを考えています。

構造化することが趣味!?

行政案件の場合、ターゲットを絞りすぎず、多くの人に受け入れられるデザインが求められます。その「普遍性」というキーワードをもとに、co-lab墨田亀沢に配架されている様々な冊子のデザインを見ながら意見交換を行いました。万人に受け入れられるデザイン、奥が深いです。
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小川さんは、案件を構造化し、見せる化するスキルを磨くために、テレビを見ながらその内容をグラフィックレコーディングしているそうです。「これは趣味のひとつ」と笑って話してくれましたが、参加したメンバー全員、驚きを隠せません。
もうひとつ、小川さんと一緒に仕事をすると驚くことがあります。突飛な発言も否定せずにホワイトボードに記録し、最終的に「みんなの総意で決めた」という全員の納得感を引き出すプロジェクトの進め方は、見たことがありませんでした。その丁寧な仕事のスタイルは「2000人を超える取材を通じてやっとここに至った」という言葉に象徴されるように、小川さんのご苦労の賜物なんだと実感します。
今日は事務局の告知が悪く、参加人数が少なかったけど(小川さんごめんなさい)、その分、長い経験から生まれた小川さんのノウハウをじっくり教わることができ、学びの多い時間になりました。

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