デジタル版画ワークショップがテレビデビュー
『葛飾北斎の作品を職人によるモノづくりと言う観点から捉える』
そんなデジタル版画のワークショップを、NHKに紹介して頂きました。
現代のモノづくりの力で再現したデジタル版画
「浮世絵は印刷物では?」と思ったのが、このワークショップのきっかけでした。「もし北斎の作品が1枚しか無い肉筆画だったらヨーロッパに渡り、絵画や音楽などに大きな影響を与えただろうか?そしてゴッホやドビュッシーの目に留まったのだろうか?」そう思った時に、「浮世絵は凸版印刷の多色刷りの印刷物だ。それならば現在の技術で再現できるのではないだろうか。」と考えて金属加工の浜野製作所さんとタッグを組んで、デジタル処理により制作した木版の開発を進め、今までに数回のワークショップを開催してきました。
北斎のクリエイティビティを支えた職人技
浮世絵は絵師、彫師、摺師の職人たちが、その技を発揮することで出来上がります。葛飾北斎は絵師であり、彫師や摺師は北斎のアイディアを形にする職人です。そして彼らの技術を支えたのもが、数回の刷りに耐える質の高い和紙を作る製紙技術。硬い山桜の版を彫る彫刻刀を作る刀鍛冶技術などの職人技術です。北斎のクリエイティビティは、数多くの職人技の上に花開いた。と言う見方も出来るのではないでしょうか。「町工場がコラボして、モノづくりの観点でワークショップに取り組むことで、新しい浮世絵の見方を提供出来たら。」そんな風に考えて取り組んできました。
撮影の依頼
実はNHKさんから撮影の話があったのは、1年以上前の事なんです。担当ディレクターがデジタル版画にすごく興味を持ってくれ、やっと今回の北斎美術館のオープンに合わせ、「北斎で盛り上がる両国地区」と言うストーリーで紹介して頂けることになりました。メールでの打合せや事前ロケを経て、撮影当日まで細かなやり取りが続きました。
撮影スタート
まずは建物外部や印刷工場の撮影です。印刷会社の場合、お客様からお預かりしている印刷データは機密事項であるケースが多いので、印刷物が写り込まないよう撮影も気を使います。
そして、アナウンサーさんも入っていよいよワークショップのスタート。参加されたみなさんは、版画の制作は初体験。慣れない版画に手こずるだけでなく、カメラに見つめられるというプレッシャーも。
結局3時間以上かけて撮影は終了しました。
co-lab墨田亀沢&サンコー以外にも、両国駅前にオープンしたばかりの両国江戸NOREN。私も大好きなおかき・あられの東あられ本舗、メリヤス製ルームシューズのmeriなど、両国地区で北斎をテーマにしているお店が取り上げられました。今度の週末に街歩きで立ち寄ってみたくなる。そんな素敵なお店ばかりです。
放送された実際の動画はこちら。
デジタル版画の部分だけの抜粋版はこちら。
テレビや映画って、画面の向こう側の見えないところで本当に本当に多くの人が、長い時間と労力をかけて作り上げているんだ、と言う事を実感する取材でした。そして、このワークショップをより多くの人に体験してもらえるような仕組み作りを考えなきゃ。そんなことを思いました。
≪co-lab墨田亀沢 チーフコミュニティファシリテーター 有薗悦克≫