tel:03-5608-5741

Who’s working? 第8回 インクデザイン株式会社 鈴木潤さん

8月 31日 Who’s working? 第8回 インクデザイン株式会社 鈴木潤さん

co-lab墨田亀沢には様々な活動をされているメンバーさんがいらっしゃいます。その活動をインタビュー形式でご紹介するシリーズ“Who’s working?”
第8回目は『インクデザイン株式会社』の鈴木潤さんです。

今回は鈴木さんに現在のお仕事やco-lab墨田亀沢に入ったきっかけなどについて伺いました。
インタビュー&構成:今野和人(co-lab墨田亀沢:re-printing/コミュニティ・ファシリテーター)


ニッチなデザインを選んで起業

――現在の仕事は何ですか?
デザイン業です。企業活動をするにあたって必要なコーポレートコミュニケーションツールを作っています。主力分野は上場企業が株主や投資家と関係性をもつためのツール(IR活動)の作成ですね。
――なぜコーポレートデザインを選んだのですか?
起業した当時、グラフィックデザインの花形は広告や雑誌などでしたが、その業界は花形ゆえに厳しく、生き残るのは難しいと思いました。
弱者の生き残り戦略として、まだニッチな分野であったIR分野のデザインに取り組むことにしました。

印刷会社とデザイン

――前職は印刷会社だとお聞きしています。co-lab墨田亀沢の運営母体もサンコーという印刷会社です。鈴木さんの中で何か印刷に対して思い入れがあるのでしょうか?
世間的に印刷会社はあまりデザインに重きを置いていない印象があると思うんですけど、前職で僕はデザインにも力を入れる印刷会社にしたくて仕事に取り組んでいたんです。その取り組み自体は結果を出しつつあったのですが、社内とのバランスをとるのが難しくなり、志半ばで印刷会社を辞めたんです。
そのあと起業したんですけど、紙の需要が減り、苦境に立つ印刷会社が巻き返すことをやりたい想いが心の奥にあったんです。そんな中、サンコーさんが新しい取り組みをやっていたので、自分が目指してたことに近しいなという思いがあって共感したんですね。
――具体的にどの辺りに共感したのですか?
紙の需要が減っている背景があるため、業界全体はかつての勢いを失い、働いてる人間の意識もなかなか上がらないのではと思っていました。そうした状況で、サンコーさんが孤軍奮闘がんばってる姿は希望の光みたいに見えましたね。世の中の需要の変わり方より人の意識の変わり方に対して抗ってる感じがありました。

(インクデザインとサンコーがコラボレーションで制作したスクラッチ印刷の年賀状)

デザイナーは超能力者

――インクデザインのサイトに採用に関する記事があがっています。
求めているのは「自身で判断できる」「世の中のためになることをやりたい」デザイナーだと書かれていました。この基準についてもう少し詳しくお聞きしたいです。
デザイナーでクリエイティブだと評価されるのは難しく、実際は与えられた業務で手一杯になってしまうケースが多いんですよ。デザイナーは目の前の作業とか手を動かすことが好きですし、広く周りを見て、そのなかの課題を抽出して仮説を立ててデザインの力で解決するところまでなかなかたどり着くのは難しいんですね。ただ、それはもったいないなと思います。
――僕は宣伝会議のコピーライター養成講座に通っていたことがあるんですけど、そこでコピーライターとはいい感じのお洒落な言葉を書く人ではなく、企業が抱えている課題をコピーで解決する人を指すと言われました。方法は違えどデザイナーも近いですかね?
そうです。要は僕たちある意味超能力者だと仮定しています。
――……(とりあえず黙っとこう)。
デザイナーが能力をもった超能力者だと仮定して、映画のように、悪になることもあれば、正義の味方になることもあると思います。だとしたら世の中を良い方に進めるようにデザインの力を使わないといけないと思うんです。そうなると、誰かの判断に従うのではなく自分の意思が大事になってきます。
――もう1つの募集条件の「世の中のためになることをやりたい」というのも、今おっしゃった世の中を良いほうに進めるという話と同じでしょうか。
ええ。ただ、何をもって良いとするかの定義が難しいですけどね。それでも誰かの意思ではなく自分が導き出した答えで良いと思えることをする方がいいんじゃないかなと思います。
――「善悪を考えない」のが悪いとも言えますかね?
悪いとまではいかないかもしれないですけど、考えてほしいですね。たとえば、わかりやく「環境問題に取り組むのが良い」と言っているわけではなくて、個人で社会の課題と何が出来るかを考えて自分が思うアクションをするという意味合いですね。

複雑化する社会と向き合う

ーーco-lab墨田亀沢に入ってみて良かった点は何ですか?
ここに入ってから規模も社員も3倍に増えました。あと、人間関係が広がったのは大きいかなと思います。隣のアトリエにいるエンジニアの宮村崇之さんにはよくお世話になっています。
――僕が鈴木さんに普段接していると、朝礼に時間を割いている印象があります。どういう話をしてるんですか?
今はテレワークなので情報共有や社員の人柄を理解しにくいため、朝礼をやっています。まず、タスクの報告をして情報共有を図り、その後で最近感じたことや気になるデザインの話をしています。テレワークだと仕事が無機質になりがちなので、そうした朝礼をやることでつながりも出てくるのかなと思ってますね。
――最後に。多様化、細分化している社会だと言葉で情報を伝えるのが難しいと想像します。IRを主に手掛けているインクデザインさんは、コーポレートイラストレーションのように言葉よりイラストで会社の理念を伝えたいという風潮を感じますか?

同行援護事業所おとものコーポレートイラストレーション)

世の中が複雑化してるうえに、色々な規制も多く、新しく難解な単語も増えているので、言葉だけで伝えるのが難しくなっていると思います。でも、会社のビジョンなどは直感的に伝わらないといけないものです。なので、大枠はイラストを使い、細かいところは文章で伝えるというコミュニケーションが良いのではないかなと思っているし、段々と受け入られてるんじゃないかと思っています。


善悪を自分で考えるというのは、言うは易く行うは難しです。良いとされることに乗っかったほうが、人は楽だと思います。しかし、それでは善悪を上手に説くカリスマが出てきた場合、その判断に頼ってしまい、個人の選り好みによる偏った社会を作り出してしまいます。自分の判断を誰かに預けて大事なものを見失わないためにも、鈴木さんがおっしゃったデザイナーのマインドは社会に住む多くの人が持つべきだと思いました。
次回は『株式会社HaS』の皆川拓さんにお話を伺います。お楽しみに!