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4FES!に行ってきました(1)前夜祭

Factory4Fは、co-lab墨田亀沢のメンバーでもあり、co-lab墨田亀沢の事業主であるサンコーが日頃からお世話になっている有限会社篠原紙工が手掛ける「紙加工の広場」をコンセプトとしたスペースです。このFactry4Fで年に一度開かれる、製本をテーマにしたお祭り「4FES!」にお邪魔してきました。
その様子を2回に分けてご紹介します。まずは4/28に開かれた前夜祭の様子から。普段は手作業の加工場としても使われているFactory4F  ですが、今日はミラーボールが来場者を出迎えます。
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前夜祭は「松田行正さんがやって来るヤァヤァヤァ!」と題したトークセッションです。ブックデザイナーであり、牛若丸出版という出版社も手掛けられている松田行正さんと、篠原紙工の代表である篠原慶丞さんが登壇されました。
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このお二人は、『The Beatles get back naked』という本を手がけました。
通常、書籍というのは全てのページが同じ形をしています。しかしこの本では、各ページがバラバラです。これは篠原紙工の代名詞ともいえる「いいかげん折り」という製本方法が用いられており、ビートルズのメンバーの気持ちがバラバラになっていく様子を表現しています。従来、本のメッセージというのは本文の内容に込められ、どんな内容でも製本方法は一緒でした。でも、この本では製本された本という物体も、メッセージを発しています。
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このような厚みのある書籍で「いいかげん折り」をするのは、篠原紙工としても初めての取り組みで、想定外のトラブルにも見舞われたそうです。例えば、断裁をする際に、通常は複数の冊子を積み重ねて一気に断裁します。しかし、紙がそろっていないため、綺麗に本が重ならず一気に断裁できません。結果として、1冊ずつ。しかも2回ずつ断裁したそうです。その結果、断裁に要する時間は通常の20倍はかかったとのこと。さらに本が完成した後に、卸さんから「このままでは運搬や店舗での陳列に支障をきたすから売れない。」と言われ、慌てて後から箱を着けることになった。束見本と呼ばれる製本サンプルを4回作ったが、その途中で紙が変わることで、機械で折れる角度が変わってしまい、コンテンツのレイアウトを変更する必要が出てきた。といった、今までにない本を作ろうとする故の苦労話しも話されました。
その後は篠原紙工、牛若丸出版それぞれが取り組んできた本づくりについて話が進みます。私はこの口の絵が向きによって変化するこの本が印象に残りました。
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ページを順にめくっていくと、小口はモナリザの微笑が現れます。しかし、反対側にページを送ろうとすると。
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同じ場所にヒットラーが現れます。これ以外にもこだわりが詰まった面白い本がたくさん出てきました。牛若丸出版のHPにそれぞれ詳しく載っているので、ぜひチェックしてみてください。
「製本はコストを気にしなければどんなことでもできてしまう。でも、売り物として成立する価格で製本をするためには、製本工程ではとんでもない工夫が必要。技術の限界を自分の中で決めず、10回の失敗の中で1回の正解に行き着く。」そんな篠原さんの仕事に対する姿勢に、「この人は本当の製本職人だなあ」と感じるとともに、デジタルが主流になっていく世の中で、敢えて紙に印刷し製本する意味はこんなところにあるのかも。そう思った前夜祭でした。
 
co-lab墨田亀沢 有薗悦克

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