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Who’s working? 第7回 株式会社KIJIN 石川玄哉さん

8月 08日 Who’s working? 第7回 株式会社KIJIN 石川玄哉さん

co-lab墨田亀沢には様々な活動をされているメンバーさんがいらっしゃいます。
その活動をインタビュー形式でご紹介するシリーズ“Who’s working?”
第7回目は『株式会社KIJIN』の石川玄哉さんです。

株式会社KIJIN 石川玄哉さん
今回は石川さんに現在のお仕事やco-lab墨田亀沢に入ったきっかけなどについて伺いました。
インタビュー&構成:今野和人(co-lab墨田亀沢:re-printing/コミュニティ・ファシリテーター)


思いではなく想い

――現在のお仕事は何でしょうか?
オーダーメイドの家具をつくっています。お客さんの想いを伺って、それに沿った家具をつくる仕事です。
――なぜオーダーメイドの家具をつくろうと思ったのですか?
前職で販売していた家具は10年使えれば御の字でした。そういう商品も役割として必要だと思うんですけど、働くうちに家具の多くが大量生産かつ大量消費されるものになっているという違和感をもったんです。昔の桐ダンスのように親子3代で使い継ぐもののほうが、消費して簡単になくなるより人の想いが乗りやすい。想いって基本的に積みあがっていくものだと思いますし、一回積み上げられた想いって簡単になくならないと思うんです。そういうちゃんと想いを込めて使い続ける家具がいいなと考えました。
――KIJINの家具の素材はすべて木材です。木にこだわる理由はなんでしょうか?

株式会社KIJIN ベッド
(ヘッドボード・フットボード・サイドボード全てがケヤキ無垢一枚板材のベッド)
長く使える素材、一生使える素材を考えたときに、もう木しかないと思いました。それに「一生ものの家具をつくりたい」を言い換えるなら「人の心を豊かにする家具がつくりたい」ということなので、そう考えたとき想いが入る素材がいいなと思いました。「想」は漢字の中に「木」が入ってるし「目」もあります。いわば木目が入ってるんです(笑)。その下に「心」という漢字が入ると「想」という漢字になる。このように言葉に着目しても素材として木が最適だと思いました。

KIJIN=木人、奇人、鬼人……

――最初会社名のKIJINだけ見たときは、奇人だと思ったんですけど木人なんですよね。
いや、奇人でもいいんですよ。うちはオーダーメイドの家具屋です。その人の想いとか状況によって形が変わるのがオーダーメイドのものづくりなので、木の人の木人でもいいし奇人でも鬼人でも喜人でもいい。社名を見てくれる人がそれぞれ自分の中の意味に落とし込んでもらっていいんじゃないかなと思ってます。だからあえていろんな書き方ができるローマ字表記にしてるんです。
――なるほど。事業と合致した名前ということですね。
後づけですけどね(笑)。
――具体的にどのようにお客さんの要望を聞いて家具をつくっているんでしょうか?
想いと家具があってそれぞれは別個のものですけど、2つをストーリーでつなげられるという考えで製作しています。たとえば、以前つくらせたいただいた新婚のご夫婦のキッチンキャビネットの話なんですけど……キャビネットに炊飯器と電子レンジを置きたいという要望を受けました。ただ、素材であるナラ材の上に直接あまり熱いものを置くのはよくないので、電子機器とキャビネット本体の間に石を敷くことにしたんです。木部と炊飯器の間と木部と電子レンジの間に。そこで、その石の選択に工夫をしました。もともと、この夫婦は旅つながりで出会っていて、旦那さんは秋田が大好きで奥さんは沖縄が大好きなんです。なので、電子レンジの方には秋田の十和田石を、炊飯器の方には沖縄の琉球トラバーチンという石を使うことにしたんです。このようにご本人のストーリーをものに落とし込むようにしています。
株式会社KIJIN キャビネット
――本人が好きなものや共通する体験が家具に落とし込まれているんですね。
そうですね。それを毎日思い出さなくても、ふとしたときに「そういえば……」というものがあったほうが素敵だと思うんです、人生って。

1人きりはさびしい人におすすめ

――co-lab墨田亀沢を知ったきっかけは何でしょうか?
もともと入ってたオフィスが建て替えすることになり、出ざるを得なくなったんです。自宅も錦糸町なのでとりあえず交通の便がいいところを探しました。結局、co-labに入ったのがコロナによる緊急事態宣言の3日前だったんですけど、そんなに人が来る仕組みにならないかもしれないなと思ったので、シェアオフィスでいいかなと思いました。
――どこに興味をもちましたか?
「クリエイター専用」と書いてあり、尖ってるな、面白そうだなと思いました。
――日々どういう使い方してますか?
事務や資料をつくっていますが、予想に反し意外と来客が多くてここに来てもらっています。
――入ってみてよかった点は?
自由度が高いです。今いるブース席で作業してもいいし、フリーアドレスのエリアも使えるし、ラウンジもありますし。
(石川さんのブース席)
――ここのメンバーさんとコラボレーションで仕事することはありますか?
いまもインクデザインさんにイラスト描いてもらってますし、デザインの仕事を(デザイナーの)青木さんにお願いしたりもしてます。
――では、どんな人にすすめたいですか?
集中したいけど1人きりはさびしいというクリエイターさん。仕事に集中したいけど相談できる人がほしいという人はちょうどいいですね。あと、いい意味でおせっかいなオーナーの有薗さんがいるのもいいですね(笑)。有薗さんに墨田区とつないでもらって、墨田区のイベントに出たりとか撮影させてもらう場所を紹介してもらったりとか仕事の幅が広がりました。

多種多様なつながりを大事にする

――co-lab墨田亀沢近辺で好きなお店はありますか?
「Shake Tree」とか「みそら屋」さん。みそら屋さんは味噌にこだわっているお店で定食に味噌汁が2つついてくるんです。
――趣味はなんですか?
旅ですね。さっき例に出した新婚夫婦とも旅行先で知り合ったんですよ。まあ今は難しいですが、出張で地方をめぐるのは楽しいですね。
――最後に。仕事で大事にしていることはなんですか?
つながりです。1つ1つの行動がすべて何かにつながっているのかなと思います。自分の行動が誰かに余波を起こしていくっていうつながりは大事ですし、人と人とのつながり、人とものとのつながりも大切にしています。


普段から石川さんの木へのこだわり(ネクタイも木!)を見つつ、なぜか僕はKIJINとは奇人という意味だと思い込んでいました。石川さんの回答を聞き、単に自己認識が自分は奇人なのだと気づかされた次第です。それか奇人ぶりたいイタい人間なのか……。その真相はともかく、石川さんは想いをものに落とし込むとおっしゃってましたが、人の想いはものにしないとなくなってしまうのかもしれないなと思いました。
次回はインクデザイン株式会社の鈴木潤さんにお話を伺います。お楽しみに!