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Who’s working? 第4回 合同会社はひぷぺぽ 宮村柚衣さん

5月 02日 Who’s working? 第4回 合同会社はひぷぺぽ 宮村柚衣さん

co-lab墨田亀沢には様々な活動をされているメンバーさんがいらっしゃいます。
その活動をインタビュー形式でご紹介するシリーズ“Who’s working?”
第4回目は『合同会社はひぷぺぽ』の宮村柚衣さんです。

今回は宮村柚衣さん・崇之さんご夫婦にご登場いただき、柚衣さんのお仕事やco-lab墨田亀沢に入ったきっかけなどについて伺いました。
インタビュー&構成:今野和人(co-lab墨田亀沢:re-printing/コミュニティ・ファシリテーター)


保育園を自力でつくる

――現在のお仕事は?
(柚衣、以下「柚」)『ちゃのま保育園』という小規模保育園を墨田区でやっています。


(ちゃのま保育園)

(崇之、以下「崇」)IT関係のプログラマーです。
――あ、まったく違う仕事をしているんですね。
(柚)そうなんです。仕事は別々なんですけど、家賃を半分ずつ出してco-labの部屋(アトリエ2)を借りています。
――なるほど。本日は柚衣さんの仕事についてお伺いします。はじめてどれくらいですか?
(柚)7年前に始めて、2園目を2年前に立ち上げました。
――そもそも、なぜ保育園をやろうと思ったんですか?
(柚)自分の子どもが待機児童でした。どうしようと夫に相談してたんですが、大変だね~みたいな他人事だったんです。
――男性あるあるですね。
(柚)そうそう。いまでこそメディアに批判されるふるまいですけど、私は保育園預けられないから働けない、どうしようと泣き崩れているのに、夫は自分の仕事とは関係ないよねーみたいな感じで。優しいんだけど、「大丈夫でしょ」みたいに他人事なのに腹が立って。もうそれだったら保育園つくったほうが早いなみたいな感じになりました。
――そこで保育園をつくろうと思うのがすごいですね。当時、崇之さんはお子さんが保育園に入れなかったことをどう思ってたんですか?
(崇)自分の仕事も手いっぱいで……。そのとき、妻は働いてなかったので、「自分が働けばなんとか食べてはいけるから」って態度だったと思います。
(柚)そうそう。でも、育児で仕事を休んでブランクができてから仕事再開したいと思っても、年齢を重ねて特別な技能もなかったら、キャリアも制限されるし働くのが難しいというのが危機感としてあったんです。そこまで考えてんの? みたいな気持ちでした。
(崇):すいません、考えてなかったです。

開園2週間で辞めることを考える

――保育園を開園してからどんな苦労がありましたか?
(柚)保育士さんたちを知らないから空回りしてました。保育士さんが大事にしてるものと私が大事にしてるものが全然違ったんです。
――どういう違いですか?
(柚)とにかく、保育士さんは子どもが大事なんです。

ちゃのま保育園の保育士さんと子ども
子どもの発育を考え、子どもが喜ぶことをしてあげたい。私は経営をやっていて利益をあげなければいけないから、効率を求めていました。例えば、保育士さんが「これやりたいんです」といっても、1回は受け止めるんですが、答えは決まっていたんです。私が「収入がこれだけで支出がこれだけだからできないよね」と説明して、保育士さんも「わかりました」と納得するんですが、そういうのが何回も重なってくると……。
――不満はたまっていきそうですね。
(柚)開園2週間で溝ができてました。ある日、お昼休み中に保育士さんがお昼を食べてる中に私が入ったら、ぴたっと空気が凍りついて。で、蜘蛛の子散らすように保育士さんが出て行っちゃいました。
そのとき私は誰よりも早く保育園行ってたし、24時まで働いてました。がんばってたし、話も聞いてるつもりだったので、帰って泣き崩れたんです。そのときはじめて、夫が「そんなにつらかったらやめてもいいんじゃないの」って言ってくれて。
――優しい。でも開園2週間で(笑)。
(柚)(笑)。ある程度たったら落ち着いて、何が悪かったのか考えました。
様々な人にアドバイスを聞くうち、先輩の経営者から「顧客満足度は従業員満足度を超えられない」という言葉を教えてもらいました。これまでは顧客――うちで言うと子どもや特に保護者の満足度をあげる施策とかをいっぱい考えてました。でも、その言葉に出会ってから、保育士さんが満足していなかったら、保護者は満足できないんだということがすごい腑に落ちて。
そこから、保育士さんの満足度をあげることに注力し始めたんです。まず、保育に従事していたわけではないから、現場に出ることをやめました。あと、保育士さん1人1人と1時間面談して、基本的に言われたことにノーと言わないように決めました。お金が厳しくてもなんとかやる方法を考えようと変化したんです。

co-labでのコラボレーション

――co-lab墨田亀沢に入ったきっかけは?
うちの強みというのを商品にしたいなと思って、いろんな商品考えたんです。そのうち、日めくりカレンダーに決まって、co-labの下(2階と1階)が印刷会社なので、相談に乗ってもらえるというのでここに入りました。

ちゃのま保育園の日めくりカレンダー
(ちゃのま保育園の日めくり万年カレンダー)

――商品の選択をカレンダーにした理由はなんですか?
まず、『ちゃのま保育園』は保護者や保育コンシェルジュの評判がとてもよかったんです。そこで何が評価されてるかもう一度考えたところ、結局保育士さんがよかった。完璧な保育をやってるわけじゃなくて、保護者も丸ごと受けとめる保育と保育士さん同士が楽しそうに保育してる姿の2つがよかったんです。
そのよさを表現するために、保護者の相談や悩みにベテランの先生だったらどんなふうに声かけするのというのを日めくりにしました。それに加え、言語聴覚士とか心理士とか作業療法士に声かけに対する見解も書いてもらいました。そういうカレンダーなら、たとえばトイレとかに置いておいて手軽に読めるし、子育てのヒントになるかなと思ったんです。
――なるほど。ちなみに、崇之さんはお子さんが生まれた当初、日本の一般男性くらいのかかわりのように思ったんですが、だんだん変化していきましたか?
(崇)それはもちろん。妻は土日ほぼいなかったので。
(柚)ごはんとかおむつとか、用意して出ていくこともしなかったですし。
(崇)毎週水族館連れて行ったら、子どもにもう行きたくないと言われてました(笑)。

仕事と家族と食事

――仕事で大事にしていることはなんですか?
(柚)誠実であること。自分に嘘をつかない、人に対して失礼のないようにすることです。
――夫婦の間の仕事ルールはありますか?
(崇)第一優先は家族。
(柚)あー、それはそうね。
(崇)だから仕事で家族をないがしろにするような状態になったら、一回その仕事どうなのと再考するタイミング。
――最後に。お2人で昼食に行く姿をよく見かけますが、このあたりで好きなお店ってあります?
(柚)ラーメン屋の『SORENARI』さん。夏季限定の冷やしラーメンと冷やし担々麺をぜひ食べてほしいです!


co-lab墨田亀沢には皆さんが飲食や交流をするラウンジスペースがあります。そこで僕が最初に昼食をご一緒したのが宮村さんご夫妻です。調理は崇之さんが担当だと聞いたり、保育園を開く以前の柚衣さんの経歴やお子さんの話を聞いたりと楽しい時間を過ごしました。
インタビュー中の「顧客満足度は従業員満足度を超えられない」という言葉は、「目の前にいる大切にするべき人は誰なのか」と自分は翻訳し、考えました。
次回はライターの草野明日香さんです。お楽しみに!