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co-lab墨田亀沢の毎日

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co-lab墨田亀沢「3rd anniversary party」が開催されました!vol.2

co-lab墨田亀沢「3rd anniversary party」が開催されました!vol.2

4月19日(木)、co-lab墨田亀沢のオープン3周年を記念し、「3rd Anniversary party」が開催されました。co-lab墨田亀沢を通じたサンコーの取組みと、地域に広がり始めた「化学反応」の実例をテーマに、3年間の歩みをお伝えしました。vol.2では、イベントの後半部分で行われたパネルディスカッションの様子をお届けします。
テーマは「職人とクリエイターが出会って起きたこと」。株式会社nice bravo designの佐藤誉子氏、春蒔プロジェクト株式会社の田中陽明氏のお2人をパネリストに迎え、それぞれの想いが込められた素敵なディスカッションとなりました。

■パネリスト

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佐藤誉子氏
株式会社nice bravo design代表・co-lab墨田亀沢メンバー
2011年5月株式会社nice bravo designを設立。FLYING APARTMENTのブランド名でオリジナル商品を開発・展開。今治タオル素材で、3色の先染め糸を撚り合わせて織った深い色合いのタオルや、その生地を使ったワンアクションで脱着できるエプロン、ワンランク上の洗える革のバブーシュなど、使う人が癒されるような使い心地の商品の開発と販売を行っている。また他社商品のプランニングやそれに伴うマーケティング、コンサルティングなど幅広く活動している。
co-lab田中陽明
田中陽明氏
co-lab企画運営代表/春蒔プロジェクト株式会社代表取締役
1970年、福井県生まれ。大手ゼネコン設計部を経て、慶應義塾大学大学院政策メディア研究科メディアアート専攻修了。クリエイター専用シェアード・コラボレーション・オフィス「co-lab」(コーラボ)の企画運営をしながら、約400名のco-labメンバーを中心に構成されたクリエイション・ドゥータンクのクリエイティブ・ディレクターとして企業や行政等の様々なクリエイションのコンサルティング業務を行う。
■ファシリテーター
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株式会社サンコー 取締役社長 有薗悦克

それぞれの事業概要

有薗
前半部分では、サンコーがこの3年間に取り組んで来た事についてお話しさせて頂きました。後半部分では、co-lab墨田亀沢のメンバーである佐藤さんが、墨田の町工場と起こした化学反応についてご紹介しながら、「このような化学反応をたくさん起こしていくためにどうしたらよいか」というテーマで考えていきたいと思います。
まずは、お二人の事業概要についてお話ください。
佐藤
はじめまして。nice bravo designの佐藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私の名前は、「やすこ」と言います。漢字の読みから「ほまれ」や「ほまれ子さん」「ほまれちゃん」と友人からは呼ばれますが、このco-lab墨田亀沢ではなぜか「姐さん」と呼ばれています。この場では、ファミリー感溢れる本当に心安らぐ状態で仕事をさせていただいています。
本業としましては、商品開発の仕事をしています。大きく2つありまして、企業や工場のオリジナル商品の開発などを手掛けるプロデューサー業と、もうひとつは、「FLYING APARTMENT(フライングアパートメント)」という自社ブランドの商品を企画・デザイン・運営・販売までやっています。
「頑張る人を癒したい」というのがコンセプトで、工場が「「普段は(生産効率などが理由で)やりたがらないけど、やったら面白い事」を引き出して、小ロットだけれど量産化して商品にして形にしていくところが特徴的なところですね。見た目にもワクワクして、使い勝手も良く、品質も良いものを作っています。「私が買いたくないものは絶対作らない」という思いでこのブランドを運営しています。
また、企業と自社ブランドをつなぐ企画として、私たちが国内外からアーティストを探し、店頭で売れるものを商品化し、展示販売をしてもらうといった企画を行っています。
私たちは製品を作るというよりは、モノの良さを引き出すとか、見えていない良いものを見つけ出し伝えるとか、今ある形のものを少し直していく、といった商品を作り上げていっています。
田中
クリエイター専用オフィスとしてco-labは、今から15年前の2003年からスタートしています。今、空前のコワーキングスペースブームと言えますが、だいたい2010年くらいがコワーキング元年と言われているようです。私はそれよりずいぶん前からやってきました。co-labにおける働き方のコンセプトは「集合体で働く」ということです。絵本の「スイミー」をイメージしています。個が集まれば集合体となり、大きなことができる。企業や個人という枠を超えて、プロジェクト単位で個人が集まりコラボレーションをしながら、アウトプットを共創していくというところに価値を置いています。また、co-lab自体が、まちづくりのための拠点のような機能を持たせることも重視しています。
また、マッチングコーディネーターとして案件に応じて企業と人をマッチングさせて、商品開発も行っています。例えば、ビジネスクリエイティブヨコハマという横浜市の取組みで、「横浜の公式土産をつくる」プロジェクトにおいて、企業とクリエイターをマッチングさせてチームを作るといったコンサルをやらせていただいたことがあります。
今日は、co-labの中で起きているコラボレーション事例、クリエイターと企業が組んだ場合、行政と組んだ場合などコワーキングスペースではどんなことができるのかということを、お話できればと思います。

技術やデザイン、製品の価値をどう伝播させていくか

有薗
さて、とある商品についてご紹介します。「洗える楽しむバブーシュ」という豚革の室内履きです。すみだの想いを伝えられる商品を区が認定する“すみだモダン”に、洗える革を使った商品が認定されていました。そして、佐藤さんが洗える革で開発したのがこちらの室内履きなんですよね。この商品についてご紹介頂けますでしょうか。
佐藤
そうですね。特徴は墨田の産業であるピッグスキンを使い、洗えるということです。そして、山形の足袋を縫う技術の力で1点1点縫製して製作して、ふっくらした履き心地が特徴です。
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有薗
きっかけは、たまたま手に取った冊子を通じて、「洗える革」を製造するメーカーの存在を知って、衝撃を受けたんですよね。どんな印象だったんですか。革というものは。
佐藤
元々、今治のタオルバブーシュを作っていました。革は好きでしたし欲しいと思っていましたが、日本の気候もあってベタベタしたり洗えなくて、汚くなってしまうイメージがあり、なかなか手を付けられずにいたんです。だから、洗えるって聞いたときに衝撃が走って。「絶対すぐ作る!」って言って、有薗さんにメーカさんと私をつなげてもらいました。
有薗
そのときの、姐さんの興奮具合はすごかったですよね(笑)それで製品化に向けてアクションされたわけですが、どうしても、価格が高くなってしまう。この会場には、普段ものづくりをされている方たちが多数いらしていますが、自社の技術を使って自社製品を作ろう。と考えて、室内履きで17,000円になってしまうとしたら「(価格が高くて)あー無理だ」って諦めてしまうことも多々あるのかなと思います。この価格が高くなってしまうところを、どうクリアにしていったのでしょうか。
佐藤
これまで、日本で価格競争の中で売ることの厳しい現実を見てきました。安いものを提供するのは体力のある企業だからこそできることです。「洗える革」に出会い、自分で立ち上げ、企画運営、販売をするので、規模を活かした安売り商売はできない。そんな中で、ニューヨークに視察に行く機会があったのですが、そこで結構日本の商品が評価されていると教えられたんです。自分で作ったときの売り先は、日本ではないほうがよいのかもしれない。そう思ったんです。
海外を主要マーケットとして定めた後は、買う人像を完璧に定めて作りました。海外であれば漢字のウケはいいから、ブランド名に漢字を入れる。マンハッタンに住んでちょっとお金を持っている人、素材や品質の良さを知ってくれて、ファンになり買ってくれる人をイメージし昨年8月に発表しました。

デザインは、飾りではない。指針を立てるもの。

有薗
墨田の技術が、デザインによって価値を高め、このような商品が生まれました。co-labでは、墨田と日本橋横山町が、ものづくり企業が運営をしていることで、ものづくりとクリエイティブの融合を特に志向しています。日本橋ではこのような地域産業と結びつくことで、地域に対してどんな効果が生まれていますか。
田中
co-lab日本橋横山町では、ファッション雑貨の卸問屋さんが事業主をされていて、「ここのがっこう」というファッションデザイナーになるためのスクールとフロアをシェアしています。このスクールを主宰されている山縣良和さんは、日本ではあまり知られていませんが、ロンドンのファッションスクールをトップで卒業され、世界的に高い評価を受けています。
しかし、彼は日本のファッションの専門学校に通っていた時には成績は決して良くなく下位だったそうです。しかし、海外に出てみると非常に評価が高いということが起こる。海外では概念を大事にしているのに対し、日本は技術に傾向した評価をしていることが明らかになっています。概念がしっかりしていないと、世界での評価は得られず、昨今、日本から世界的なファッションデザイナーが出てこない理由になっていると思います。
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有薗
今、まさに田中さんがおっしゃったところで個人的に掘り下げたいところがあったんですが、デザインに対する捉え間違えの悲劇みたいなことがあるような気がしていて。田中さんはデザインという言葉を概念と振替られました。デザインを表層的なもの、いわゆる飾りとして捉えているところが、まだまだ日本でモノを作る人たちの中にあるのかなと思っていて。
本来は、本質を突き詰めることがデザインだと思うんですけど、ひょっとするとデザインに対する捉え方の違いが、デザイナーさんと職人たちの会話を難しくしているのではと、ふと思ったんですね。その辺は、田中さんの立場から見てデザインはどんなものかっていうのをお話いただけますか。
田中
デザイン思考というのはあって、ビジネスの世界でも会社の経営とかもそうなんですけど、デザインというのは「指針を立てること」なんですよね。表層的なものとは本来は無縁なものであって、捉え違いされているところはあると思っています。
有薗
デザインを表層的なものと捉えてしまうことで、ものづくりの職人側はデザインは自分たちにはわからないから、デザイナーさんの言われたとおりに作りますよ。という一方通行のコミュニケーションになってしまう。でも田中さんのおっしゃるように指針を立てることがデザインであるとするならば、素材や加工のプロとしてモノを作る人は、デザインする人ともっと真正面で向かい合って取り組む必要があるのだと思います。
そういう意味では、東東京にいるクリエイターの方は最初にその壁に気づいて、ものづくりの現場にどんどん行くようになっているのが特徴としてあるのかなと思います。
台東区・荒川区・足立区・墨田区・葛飾区の五区連携でものづくりを盛り上げていこうという「TASKプロジェクト」に民間委員として入らせていただいています。その活動としてクリエイターさん向けに工場をまわっていただくツアーをやっているんですね。佐藤さんも参加いただいていますが、とても興奮して帰っていたのが印象的でした。町工場の魅力ってどんなところがありますか。
佐藤
やっぱり、工場の技術って宝ですね。「この工場の技術は、ご自身が気づいているものや、ないものも含めて引き出したら、どんなものが作れるんだろう」って想像をするから興奮します。見学しているときは、関心と感動と妄想でいっぱいになりますね(笑)
田中
佐藤さんはデザイナーとしてあらゆる角度から、職人さんの技術を吸収しようとしています。それに対して、職人さんの側がもっとデザインのことを勉強して、デザイナーと共通言語を持ったら、もっと素晴らしい製品が生まれてくると思います。イタリアの家具職人は、素材や加工のことは当然詳しくて、さらにデザインの流行などもしっかり勉強しています。そのため、デザイナーに対して「もっとこうするべきだ」と意見してくるそうです。でも、それがデザイナーから見たら、納得できる意見だったりする。
有薗
そうですね。製造業、デザイナーそれぞれにとって当たり前のことが、相手方にとってみればそうじゃないこともある。工場を見てもらったことで、気づけることもあったりしますし、co-labのようなシェアオフィスのように、お互いの視点で重要なことを共有できるという「場」があることは、価値があるように思います。
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******************
ものづくりをする人、クリエイター、それぞれの視点をシェアすることができる「場」の可能性について、来場した方たちの想いも同じなのでしょうか。頷きながら、聞き入っていました。ここから、ものづくりにおいて、職人とクリエイターのコラボレーションをより進めるためのポイントについて話が進んでいきました。

ものづくりは、チームづくりが鍵を握る

田中
プロジェクトなどをやる上では、最後の到達点まで走り続けられるように、しっかりチーム編成をする。我々はそれをキャスティングと言っているんですけど。そういう意味では、墨田区の中ではそこに気づいて、工場とクリエイターのマッチングをして商品開発をしているというのは、成功例だと思っています。
佐藤
工場、職人とデザイナーを隔てているのは、まさに体制だと思うんですよね。作ったら、作りっぱなしということもある。その先に情熱がないと販路は見出せないと思うんですよね。さらにはそれをどうやって流通にのせるのかっていうのを真剣に考えるのは、やっぱりチームじゃないと難しい。ある意味家族のような、血を分けた想いを持つ者同士じゃないと難しいですよね。
田中
だからこそチームがきちんと組めるように、僕らはキャスティングしてマッチングさせていく重要性を感じています。体制を作っていくひとつとして、有薗さんも関わっているところだと東東京という括りで創業サポートをするイッサイガッサイの事業もありますよね。
有薗
イッサイガッサイで言いますと、新たに創業したい方や創業したての方々をサポートする仕組みを作っていこうと取り組んでいます。デザインはできるけど、それを形にすることができる工場はどこに相談したらいいんだろうか、そしてそのあとにどうやって売っていったらいいか、そんなことをサポートする事業をしています。
田中
体制を組むことは、民間だけでは難しく、行政の果たす役割も大きいと思います。また、企業の求める内容に応じてメンバーをマッチングできるのはいい形だと思っています。そういう意味では、墨田区は先に行っていると言えると思います。
佐藤
墨田区に引っ越してきて、背中を押してもらえたり、声をかけてもらえたり、どれだけ勇気をもらえたか・・・本当に計り知れないですね。
有薗
墨田区をはじめとして日本の職人の手に残っている技術は、世界でも間違いなくトップクラス。でもそのトップクラスの技術は元請けさんのために磨かれてきた。元請けが日本でものづくりをやめてしまう状況で、その技術を活かせる場所が無くなってしまい、その技術も職人の高齢化とともに失われようとしている。そんな課題を多くの町工場が抱えています。
そんな工場に、クリエイターが入ることで技術に別の光を当てていくことで、世界一の技術をベースにした世界一の商品が生まれていく。そんなことが、このco-labという場所から生まれたらと思っています。
話をしていると、朝まで盛り上がりそうですね(笑)お時間もきましたので、ディスカッションを終了したいと思います。
ありがとうございました。
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町工場にある世界一の技術と、そこに新たな価値を見出してゆくデザイナーの力。コラボレーションすることで広がってゆく可能性を改めて知る時間となりました。co-lab墨田亀沢は、これからも何かが起こる「場」として、クリエイターだけではなく、まちの人にとっても大切な場所でありたいと思います。
 
 

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